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◆ 幾多もの「未来」の死―そして、世界は「選ぶ」
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そう―
彼らは、「ハ虫人」の「未来」を滅ぼした。




幾多もの「未来」の残骸の中、ただ唯一の「未来」だけが生き残る。
そのために戦いあい、欺きあい、傷つけあい、苦しめあい、殺しあい、
そう、それこそが哀しいイキモノの性(サガ)なのだろうか?




「ば、馬鹿な!このわしが…イノセントの指導者たるこのわしがぁぁッ?!」

「ははは…!私を倒すことは永久にできん。この勝負、私の勝ちだ…さらばだ!」

「ば、馬鹿な…世界は最後まで僕たちを否定するのか?!」

「こんなことで、我々の理想が、我々の未来が…!」

「こ、このギム=ギンガナムが…ターンXが再び封印されるというのかッ?!」





或る者の「未来」を踏み潰し
或る者の「未来」を掻き消し
或る者の「未来」を打ち砕き
或る者の「未来」を引き千切り
或る者の「未来」を切り裂いて




幾多もの「未来」を焼きつくし
幾多もの「未来」に死を与え
幾多もの「未来」の死を見とり
幾多もの「未来」の墓標を乗り越え
幾多もの「未来」を、ただその記憶の中にだけとどめて




「我がアンセスターの使命はこの地球を守ること…
よって、環境を汚染するヒトはすべて滅ぼさねばならぬ!」

「ぐ、ぐああッ……ち、力が…抜け、て…いく…」

「こ…んな…ことで…アンセ…スターが……アウルゲル…ミルが……!」

「――――――!!」





その戦いの果てに、運命を隔てる空間を越えて
しばし彷徨ったその世界との別れを越えて
大切な「仲間」たちとの必然たる別れを越えて




「ジ、ジロン…!」
「あばよ、鉄也!そっちでも、元気にやってけよ!」
「あ、ああ!」
「それから、みんな…俺、あんたたちのこと…忘れないよ!」
「ガロード君、ありがとう…」
「へへっ、色々と世話になったな!…ありがとな!」
「げ、元気でね、エルレーン…『エルシオン』!」
「チルさん…!」

「ディアナ女王…どうか、ご無事で」
「…はい」

「…あなた方の『未来』が平和であることを、心から願っております―」




流浪の果て、帰り着いた自らの世界
その世界を救う事こそが、彼らが「選んだ」まさにその「未来」―!




「な、何だ!?」
「これは…衝撃波接近の警報です!!」
「そうか…!最後の最後に、大仕事が残っていたんだっけな!」
「ああ…!ついに、『イージス計画(Project AEGIS)』を発動させる時が来たッ!」




いのちを賭けて。
魂を賭けて。
誇りを賭けて。
全てを賭けて。




「衝撃波到達まで23分45秒!」
「いよいよか…!」
「各スーパーロボットとマイクロウェーブ送信施設の接続の方は?!」
「まもなく終了する!」
「地球の命運は…今、この時にかかっている!頼むぞ、みんな!」




今まで喪ってきた、「仲間」のために。
今まで喪ってきた、「敵」のために。
今まで喪ってきた、「物語」のために。
今まで喪ってきた、「未来」のために。




「みんな、準備はいいか?!」
「おう!バッチリだぜ!」
「こっちもOKだ!」
「ボルテスに問題はない!」
「行くぞ、ライディーン!」
「限界ぶっちぎりでエネルギーを叩き込んでやる!!」
「後は全力を尽くすのみッ!」
「ああ!…地球圏は、俺たちが力をあわせて衝撃波から守ってみせる!」
「じゃ、そろそろ…最後のお仕事に取りかかりますか!」
「重力シールド衛星、最終チェック終了!」
「エネルギー変換装置、ファイナルセイフティ解除!」
「衝撃波到達まで90秒!各エネルギー変換、最終段階へ移行!」




幾多もの祈りと
幾多もの希望と
幾多もの願いと
幾多ものいのちを捧げて




(お願い…)




(どうか、「未来」を―!)












そして―
世界は、一つの、たった一つの「未来」を「選んだ」のだ。













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