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Great Bookmaker's table(偉大なる胴元の円卓)(4)


さて、クイズダービーも終盤戦。
それぞれ、出場者チームの得点にもばらつきが出てきた…
あしゅら男爵(マジンガーZ)・巴武蔵(ゲッターロボ)の異色チーム・赤チーム。
だが、異色の組み合わせとは言えど意外や意外、うまくやっているようだ。
点数も8500点を稼ぎ、まだまだ期待が持てる。
炎ジュン(グレートマジンガー)・早乙女ミチル(ゲッターロボ)のヒロインコンビである黄色チーム。
安定して点数を取り続ける彼女たちのチームは現在15500点。
今、もっとも得点を稼いでいるチームである。
ここからうまくやれば、10万点も夢ではない。
そしてバット将軍(ゲッターロボ)・剣鉄也(グレートマジンガー)の緑チーム…
鉄也が暴走、バットが反抗、どうにもこうにもうまくいかない凸凹コンビではあるが、実は得点自体は9000点と健闘している。
さあ、ここからまだまだ得点を増やせるか?
第六問目は、いつものとおり音楽問題である。

「音楽問題です。ゲーム『新・豪血寺一族―煩悩解放―』の中で使われ、ネットで流行った謎の歌です。
ではこの歌を聞いて、次に続く言葉をお答えください」


司会者・小橋小泉。
彼の問題朗読に続いて、音楽がスタジオを埋め尽くす…
アップテンポの激しいビートに乗せ、絡みつくような男のセリフから入る―

♪(男性パート)ししてなおっ このよにみれぇん のこせしはっ ちみもーりょーと
なりはてるっ そのあしきちぃを きよめるが おんみょ〜のみちっ

♪(女性ソロ)ひ〜〜〜〜と〜の〜〜〜〜よ〜〜〜〜に〜〜〜〜
う〜〜〜〜ま〜れ〜〜〜〜し〜〜〜〜あ〜く〜を〜
や〜〜〜〜み〜に〜〜〜〜へ〜〜〜〜とお〜〜〜
ほ〜〜〜〜〜〜〜お〜む〜〜〜〜〜〜〜れ〜〜〜〜〜〜〜や〜〜〜〜〜〜〜〜!

♪(コーラス)あくりょーたいさんっ!あくりょーたいさんっ!
よーかい あやかし こまったーときは
どーまん!せーまん!どーまん!せーまん!
たすけってっもらおう!


そこで、ぴたっ、と音楽が止む。
小泉が、にっ、とカメラに向けて笑む―

「…『助けてもらおう』、さあ誰に助けてもらう?」

そう、これがクイズダービー名物・音楽問題である。
知っていれば楽勝だが、知らなければわかるはずがない…
が、だからと言って、打つ手がまったくないわけでもないのが、この番組の面白いところである。
このクイズダービーの出題傾向として、「直感」を問い、問題の中にヒントが隠してある問題が多い、というのがある。
例え知識として知ってはいなくとも、何とか今聞いたばかりの問題文の中から手がかりを捜し当てることは可能だ…
そのようなさじ加減で作成されている問題が多いのである。
そして、この第六問目もそうであった。
問題を聞いた時には虚を突かれたような表情をしていた解答者の面々だが、三々五々ペンを動かし始める。
「ただいま解答中!」パネルに埋め込まれた5つのモニターに、どんどん答えが出揃っていく…
倍率ドン。
1枠から、4、3、3、3、8。
と、ここでベットタイムである。
赤チーム、あしゅらとムサシ。
「ど、どうすりゃいいのかな〜…こんなのわけわかんない問題、わかる人っているのかよぉ?」
「馬鹿者。怖じることはない…気づいたか、巴武蔵」
「な、何?」
「…今まで、一回も間違っていない男がいる。奴に賭ければよい」
「…!」
あしゅらのアドバイスに、困惑するムサシの表情が…ぱっ、と明かりがつくように変わる。
彼らの選択は、すなわち…
「さあ、どうします?」
『…たらはいらに、4000点!』
「…そ〜うそう!分かってますねえ〜!」
小泉も納得のベット、まさに「苦しいときのたら頼み」である。
黄色チーム、ジュンとミチル。
「う〜ん…もう、全然見当つかないわ」
「あのね、もしかしたら…なんだけど」
「何?」
ひそひそ、とミチルに耳打ちするジュン。
彼女がそっと伝えたことには…
「うちの所長、ひょっとしたらこれ知ってるかもしれない」
「え?!そ、そうなの?!」
「さっき、『ネットで流行った』って言ってたじゃない?
所長ネットサーフィンするのが好きで、よくいろんなモノ見てるみたい」
「へえー…何か意外ね」
「ためしにやってみない?」
「うん、そうね」
「思い切っちゃう?」
「…思い切っちゃお!」
そんなこんなで、乙女二人の相談も決着した模様。
もちろんベットは…
『兜所長に、5000点!』
そして最後は緑チーム、鉄也とバット将軍なのだが…
「か、かぶとしょちょうによんせ」
「お前なあ!いい加減落ち着け!冷静になって考えろ!」
「何を言ってる!俺は戦闘のプロだ、俺はいつだって冷静だぜ!」
「とてもそんなふうには見えん!とちくるっとるようにしか思えんわ!」
「…ふっ、身体の弱い爺さんは引っ込んでな!」
「うるさいわ!わしゃ、まだまだ現役じゃあ!」
「はいはい、どうすんですか緑チーム?」
「兜所長に4000点!」
「はいわかりましたー」
「こらーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
バットの怒号がスタジオに轟き渡る、音声さんも思わず顔をしかめるほどのそのやかましさ。
しかし、司会者・小泉はもはや彼らの存在を半ばスルーすることにしたようだ、最低限以上の接触を断つ心積もりの模様。
それが証拠に、黒縁眼鏡の奥に光る目は、既に彼らから遠く視線を移していた。
「それじゃあね、見ていこうか!」
マイク片手に、小泉がまず最初に歩み寄ったのは…
「さあ、早乙女博士の解答を見てみましょう」
2枠・早乙女博士のブース。
「解答、オープン!」
小泉の掛け声とともに、早乙女博士の頭上に位置するモニターが解答を映し出す…!
―が、残念ながらその背景は青のまま変わらなかった。
「う〜ん、『宜○愛子』、ですか!こりゃまた具体的な!」
「いやあ、もうどうにも思いつきませんでした、ははは!」
どうやら、歌詞の「悪霊」「妖怪」などのキーワードから、オカルト関係と読んだ様子。
狙いの方向性は正しいが、すこしずれてしまっていたようだ。
「弓教授は如何ですか?」
今度は1枠・弓教授の解答を開く小泉。
そのモニターは、やはり青のまま色が変わらない…不正解だ。
彼の解答モニターには、「○田無道」とあった。
やはり考えることは同じようで似たような人物をピックアップしてきたが…なかなか正答する事までは難しい。
「ふむ、結構自信があったんですが」
「はは、なんかちょっと懐かしいですね〜、『円○寺!』ですよね〜」
そんなことを言いながら少し首をかしげているナイスミドルに、小泉は軽く応対していた。
5枠の敷島博士は、と言うと…
「…敷島さん、こりゃないよ〜!さすがにこりゃないわ!」
と、小泉に呆れられてしまった。
何故かと言うと、このご老公、
「悪霊などというものはこの世の中に存在せずまたその立証も未だなされていないためそれに対して怯えること自体がナンセンスであり(以下略)」
などと言う柄にもなく燃え滾るかのように熱い見当違いの意見をモニターに叩きつけておられたからであった。
「何を言うか!『悪霊』などこの世に存在せぬわ!
テレビを見ている全国のちびっ子が誤解したらどうする!
いいかちびっ子諸君、この世には悪霊など存在せず、したがってそれに恐怖して助けを求める必要などなくつまり」

「あーはいはい敷島博士、その話はまた今度またしましょうね〜とりあえず今は番組続けないとね、ははは〜」

そして、なおも熱く力説しようとして、あっさり小泉に流されるのだった。
…さあ、そして注目。
残った解答者ブースは、クイズダービーの「ミスター・パーフェクト」3枠・たらはいら。
そして…4枠・兜所長のみ。
「さ〜て!…驚きなんですがね、この二人の答えは、何と一緒!一緒なんですよ!」
小泉の前フリで、会場の、視聴者の視線が一気に二人に集まり…!
「せーの…ドンッ!」
同時に切り替わったモニター、そして同時に赤くなる!
そこに書かれている同一の言葉…それが答え、「陰陽師(おんみょうじ)」!
「たらさ〜ん、いつもながらすばらしいですね〜!」
「まあ、歌詞に『おんみょうのみち?』ってのが聞き取れたから…安倍晴明(あべのせいめい)と迷ったんだけどね」
そんなことを表情も変えずに言うたらはいらは、やはり「宇宙人」のあだ名にふさわしい冷静沈着さだ。
まあ、「宇宙人」のたらなら…というところだが、意外な伏兵。
4枠・兜所長、またも思いがけないところで正解を拾っていた。
「兜所長、やりましたね〜!」
「いや、まあこれは聞いたことがあったので…ラッキーでしたよ」
しかし、先ほどのアニメ問題に続き、よくもこんなネタまで知っていたものだ…
はにかみながら謙遜する兜所長、侮れないサイボーグ。
侮れない男、科学要塞研究所(実際本当に一体何を研究しているのか)所長兜剣造である。
彼の勝利に伴って、緑チームの片割れの態度が急拡大したのはもう言うまでもない。
この第六問目、全員が正解者を指名したので、全員の得点が加算される。
赤チーム・20500点、黄色チーム・30500点、緑チーム・21000点。
そして、司会の小橋小泉、七問目へとすべりこんだ。

「大人気ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズで、次の機体…
マジンガーZ・グレートマジンガー・グレンダイザー・ゲッタードラゴンが協力して出す合体技は、次のうちどれ?
1、ファイナルダイナミックスペシャル
2、アルティメットダイナミッククラッシュ
3、スーパーダイナミックフラッシュ」


どうやら、これはサービス問題のようだ…
解答者である博士たちの表情に、一斉に「あっ、あれか!」と言った明るさが浮かんだ。
…当然、ただ一人を除いて。
出場者席の6人も、観客席の仲間たちも、当然答えは知っている(喰らわす側も喰らった側も)。
そのため、当たり前だがベットは「知っていて、なおかつ倍率の高い者」に集中した(緑チームの内乱については省略する)。
倍率ドン。
1枠から、2、2、4、2、3。
集中したのは、5枠・敷島博士。
期待を背負った敷島博士、ここでひとボケまたあるか…との不安も漂ったが、まじめな顔をしているところをみると普通に解答を終えていたようだ。
「うん!こりゃまたはっきりわかれたね!…四人が一緒、一人だけ違う!」
小泉の驚いたような表情を、テレビカメラははっきり捕らえた。
その同じ答えを書いた四人とは、もちろん…
「はい!弓教授、早乙女博士、兜所長、敷島博士…大正解!」
ダイナミックな博士の皆様方に決まっている。
では、残りの一人は、と言うと…?
「う〜ん、たらさんはどうだったのかなあ、それじゃ見てみよう」
小泉の合図とともに、ぱっ、と3枠・たらはいらの画面が変わり…何かを映し出した。
それはどうやら文字ではない、何か中央に描かれているのは…手。
それは、二つの手のひらの絵だった。
手を上に上げたイラスト…つまり、「お手上げ」ということである。
「あっ、まーたたらさんやっちゃったよ!」
それを見た小泉、呆れ顔が浮かぶ。
「仕方ないじゃないですか、知んないんだから、こんなの」
「も〜う、皆さん!たらは賭けられてないとまじめに解答しないんですよー!」
ふてたようにそういうたらに、小泉の軽口が重なった。
どっ、と会場が軽く沸く。
そんな空気の中、問題に答えられなかった「宇宙人」の憮然とした顔が印象的な第七問目であった。
そしてその第七問目は、全員がまたもや点数をゲット。
赤チーム・42000点、黄色チーム・62000点、緑チーム・51000点と大躍進だ。
…さあ、大詰めも大詰め。
出場者ブースの獲得点数も、すでに10万点に限りなく近づいてきている。
七つの関門をくぐりぬけた博士たちが、最後に挑むのは…第八問目!

「さあ、最後の問題です。『夫が妻にとって大事なのは、ただ夫が「何とやら」の時だけである』。
これは文豪ドストエフスキーの言葉ですが、さて大事なのは一体どんな時?」


今まで幾多もの戦いを経てきた博士たちが、違う戦場にて最後の戦いに挑む。
小泉のナレーションを聞き終わった彼らは、ほぼ同時に解答に取り掛かる!
「ただいま解答中!」モニターに、どんどんと答えが白文字で記入されて…
「さあ、それじゃあいきましょうか!」
この最終問題は、出場者への最後のビッグチャンスでもある…何故なら、
「倍率ドン!」
現れた各ブースの倍率…1枠から3、3、2、3、4、だがそれに加え、
「さらに倍!」
掛け声とともに、その数値が倍となる!
すなわち…1枠から6、6、4、6、8!
軒並み高い倍率に変貌した各解答者の倍率。
そして、出場者側ももはや躊躇はしない。
この最終問題では、たいていどのチームもその全ての点数をかけるのだ―こんなものは所詮博打だ、と言わんばかりに!
つまり、最後に残るのは―大金か、ゼロか。
オール・オア・ナッシング。
この競馬レースは、とうとう最終コーナーを回ってラストの直線コースに入ったのだ!
赤チーム・あしゅらとムサシ。
「…」
「…ど、どーする?!」
動転するムサシ。そんな彼のかたわらに座る、あしゅら男爵。
紫と青、二色に染め分けられたフードをかぶったあしゅらは…厳かに、こう言った。
「私にもわからん…巴武蔵よ、お前が決めるがいい」
「え?!…そ、そんな、オイラ…!」
「躊躇するな、構わん。今まで共にやってきたのだ、その結果、我々はここに在る」
微笑む。ムサシに向かって。
軽くうなずき、力強く―彼は、こう言って見せた!
「だから…私も、お前が選んだ者に全てを賭けよう!」
「!」
お前を信じる、と。
お前の選択を信じる、と。
そしてその結果来る未来を、共に…共に受け入れる、と。
ムサシは、一瞬口ごもった。
しかし―やがて、あしゅらを見据え、うなずき返す。
「わかった…!」
「さあ、では?」
「…!」
ムサシは、前を向き。
まっすぐに、前を向き。
会場中に響き渡るような大声で、叫んだ―
「…早乙女博士に、点数全部ッ!!」
黄色チーム・ジュンとミチル。
「どうする…?」
「どうしよう…?」
最後の大決断。
乙女は迷う、乙女は惑う。
だが、彼女たちはただの乙女ではない…勇気ある乙女。
機械の獣、機械の龍を相手取って勇敢に戦ってきた彼女たちの強き精神が下すのは、
「でも、ここまで来たら、もう思い切っちゃうしかないよね?」
「ええ…!」
「目指そう、10万点!」
「もちろん!やっちゃいましょう!」
退却など選び取らない、逃げの姿勢など見せもしない…果断な選択!
「行くよ?」
「ええ!」
「せーの、ッ!」
二人は声を合わせ、元気よく宣言した―
『いつも頼れるたらはいらさんに、全部ッ!!』
最後は…緑チーム・鉄也とバット将軍。
「兜所長に全部ッ!」
「ば、馬鹿者ーーーーッ!またわしを無視して…」
いきなりまたもや暴走する鉄也を、必死に抑えようとするバット将軍。
そんなバット将軍を抑え返し、「偉大な勇者」剣鉄也はのたまう。
「まかせろ!俺は戦闘のプロだ、狙いははずさん!」
「嘘をつけ!三問目と四問目ははずした癖にッ!」
「大丈夫だ!」
バットの的確な突っ込みは、剣鉄也の耳には届かなかったのか―
男は、既に己の心を決めきっていた。
誰が邪魔しようとも―
「…さあさあ、どうすんですか?」
彼の選択は、常に変わりはしないのだ!
「4枠・兜所長に…全部だあああああああああああああッッ!!」
ああああああああーーーーー
あああああーーーーー
あああーーー…
鉄也の絶叫が、エコーを引きずって空気を這いずり回り…やがて、吸収されて消えて行く。
その残響音が消え失せた、まさにその時。
「…はい!それじゃ…開けていきましょうッ!」
運命の扉が、開くのだ―!
まず、小泉は歩み寄る。
ある解答者ブースに…
「まず、ここから見ていきましょう」
5枠・敷島博士のブース。
「せーの…ドンッ!」
途端に、モニターが切り替わり…彼の解答を映し出す。
しかし赤く正解の色に染まらないそれには…「給料日」と汚い字で書いてあった。
「いや〜、重いなあ〜!ひっじょうに、これは重い解答ですよ!」
「何じゃあ、違ったか!うむぅ〜〜〜〜…」
「そうですね〜、でも僕ちょっと気持ちわかる気がしますよ」
存外悔しそうな敷島博士、結構自信があったらしい。
小泉のフォローに、くすくす笑いが会場にさざめいた。
そして…次は。
4枠・兜所長に近づく…
「それじゃあ、兜所長の答えを開きましょう!」
―緊張の、一瞬。
鉄也とバットの視線が、一直線に向かう。
凝視するは、4枠のブース。
その上部にあるモニターが、今、今、今、開かれ―!
…た!
「!」
嗚呼、だが―そのモニターは、真っ青な画面のまま!
「出張中」と書かれた答えは、残念ながら不正解のようだ…!
「あ〜っと、これはいい目の付け所だったんですが…!」
「うーむ、ちょっとずれてましたか、残念です」
「ちょっと深読みしすぎですねー、ひょっとしてこれはご自分の体験談ですか?」
その答えを巡り、会話を交わす小泉と兜所長。
しかし、そんな彼らをよそに…剣鉄也とバット将軍の魂が軽く成層圏まで吹っ飛んでいたことには、誰も気づかなかった。
と、いうことは―?
「さあ、残りは1枠・弓教授、2枠・早乙女博士、3枠・たらさんですが…」
小泉が、マイクを握った右手を大きく広げ、1枠・2枠・3枠を示す。
「何と、三人一緒!三人一緒の答えです!」
三人一緒。まったく同じ答え…
オール・オア・ナッシング。
「果たして、正解なるか?!…一度に開けましょう、皆さんが出来なかったら、掛け金はお返ししますッ!」
ゆっくりと、ゆっくりと、小泉の左手が空を斬り―
「せーの…」
ためて、ためて、ためて、ためて―
「ドンッ!!」
―振り下ろされる!
同時に三つのモニターはひらめき、瞬時に赤く染まり、漢字ひらがなとばらばらではあるものの唯一の答えを映し出す…
…「留守」!
鳴り響くジングル!鳴り渡る拍手!
拍手とジングルの波が、スタジオを包んで行く…!
「たらさん、よくこんなの見破ったね〜?」
「まあ、うちもカミさんによく言われるもんで」
「はは、なるほど!」
「ミスター・パーフェクト」はやはり淡々と小泉の賞賛に答える。
あくまで、淡々と。それが、たらはいら流。
「弓教授、早乙女博士もお見事!これまたご自分の体験談かなーと疑っちゃうのは、僕だけかな?」
小泉のフリに、またもや、どっ、と沸く会場。
弓教授と早乙女博士は、これまた少しばかり照れたような表情で苦笑するのみだった。
そして―
「さあ!そんなわけで、今日の問題は全て終了いたしました!」
小泉のえびす顔が、晴れやかにゲームの集結を言い渡した。
まずは、解答者ブースに歩み、八問を戦い抜いた博士たちをねぎらう。
1枠・弓教授。最初のころは緊張気味であったものの、もうすっかりそれもとけ、こぼれるような笑顔で答えた。
「弓教授、如何でしたか?」
「いや、緊張しました…ですが、何とか答えられてよかったです」
「またまたご謙遜を!五問正解は立派なもんですよー!」
2枠・早乙女博士。穏やかに笑みながらも、地道に解答を稼いできたのが印象的。
「早乙女博士、コンスタントに正答しましたねー」
「はは、偶然知ってただけですよ。なかなか手ごわかったです」
「いえいえ、すばらしいお手並みでした!」
3枠・たらはいらはいつもの無表情を崩さない。
「たらさんは相変わらずだったね〜!」
「まあ、何とか。マイペースでやれましたよ」
「まったく何でしょうね、この『宇宙人』っぷりは!」
4枠・兜所長は、なかなかの健闘ぶりにご機嫌の様子。
「どうでしたか、兜所長?」
「はっはっは、また是非挑戦したいです!今度はパーフェクトを狙いたいものですな」
「おっと、やる気満々ですねえ〜!そんなこというと本当に呼んじゃうんだから、プロデューサーは!」
5枠・敷島博士も、ボケ倒すかと思いきや意外と真面目な回答をしてくれた。
「敷島博士も、お疲れ様でした!」
「うむ!なかなか面白かったわい!次もまた呼んでくれてもよいぞ、その時はわしの自慢の大量破壊兵器を」
「いや〜そういったおみやげは僕ちょっと使えないから!」
でも、やっぱり敷島博士は敷島博士だった。
「さあ、今日の結果です〜」
最後に、出場者チームの最終結果だが…今回は、全体的に荒稼ぎしたと言えよう。
―ただひとつのチームを除いて。
まずは、あしゅら・ムサシの赤チーム。
「見事10万円ですね、如何でしたか?」
「ふむ、なかなか興味深かった。また機会があれば出場してやってもよいぞ」
「オイラも!やっぱり、TVの前で見てるのとはだいぶ違います!」
「巴武蔵よ、礼を言うぞ。お前の協力があってのこの点数だ」
「な〜に言ってんだよ〜!お互い様、って奴さ〜!」
そう言いながら、互いの健闘をたたえあう二人。
和気あいあいとゲームを進め252000点を勝ち取った。
10万点以上は「BBSカムガルー募金」に寄付される形となるが、それでも最高額賞金10万円を手にしたわけである。
黄色チーム・ジュンとミチルも248000点、同じく10万点以上は寄付となるが、10万円を獲得である。
「はい、黄色チームもバッチリ10万円!…今日は、どうでした?」
「面白かったです」
「結構どきどきしちゃいましたー」
「はっはっは…でも結構稼ぎましたね〜、せっかくだからがんばってくれたお父さんたちに何かプレゼントでもしてあげてね」
「はい!」
「うふふ…!」
思わぬお小遣いゲットにニコニコの二人組、こぼれる花のような笑顔がかわいらしくブラウン管に映し出された。
そして…
「で、緑チームは0円ですね〜…残念でしたね」
緑チーム・鉄也とバットは、と言うと。
「お前が!自分勝手に!やってばっかりだから!」
「ええいうるさいこのトカゲ野郎!お前に何がわかるってんだッ!」
「何を〜?!このバット将軍に向かって無礼な…!」
「ふん、『偉大な勇者』をなめるなよッ!」
「小僧め、笑かしよるわ!今わしの部下どもを呼んで思い知らせて…」
「だったらこっちはグレートの力を…」

小競り合いは、醜い取っ組み合いに発展していた。
しかしカメラはもはや暗黙の了解のごとく静かにパンアウト。
小泉もそのままきれいに横滑りし、緑チームを外してスタジオを映すカメラ画面にこれまた見事に滑り込み、
そして、テーマソングと拍手がだんだんクレッシェンドで流れる中…
いつものキメのあいさつを放つのであった。


「と、いうわけで、今日はダイナミック博士特集でした〜!それでは、また来週〜!」