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◆ playing tag!
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「…だって、そうじゃねえかよぅ」
「あらあら、ムサシ君ったら…」
「ハハ、相変わらずだな」
「…まったくだぜ」
初夏の草原を、楽しげに談笑しながらゲッターチームの四人が歩いていく。
学校帰りの彼らは早乙女研究所に向かう途中なのだ。
もうほとんど夏といっていいほどの季節になった今ごろは、日が沈むのが遅い。
もう6時半だというのに、彼らの上に広がる空はいまだに真っ青なままの姿を見せていた。
「本当にお前ってやつは…」
そういいかけたリョウの視線が、ふっとわきにそれる。
草原の海の中、そこに何かが突っ立っているのがわかった…
「…!」
そのとき突然、リョウの表情が強張った。
…その視線の先にあるものは…
「!」
「あ、あいつ?!」
その視線の先をたどったハヤト、ムサシ、ミチルの表情にも驚きの色が浮かぶ。
…エルレーン!
自分たちから数十メートルほど離れた場所に立ちつくし、空を見上げている少女。
それは確かに、恐竜帝国のパイロット・エルレーンだった。
…と、エルレーンも彼らの存在を察知したらしい。
リョウたちのほうにふっと顔を向けると、軽く唇の端で微笑った。
「あ、あの女、また…!」
「ど、どうするの、みんな…?!」
ミチルが焦った口調でつぶやく。
だが、三人の誰も動けないでいる。…これまで数回あの女に生身で挑み、そのたびに軽く打ち払われてしまっていた。
ムサシに至っては、必殺技の「大雪山おろし」すらコピーされ、その技で二回も投げられてしまっている…
三人がかりでかかったこともあったが、そのときも破れてしまった。おそらく、今やってもまた軽くあしらわれるのがオチだろう。
そういう予想が容易にできてしまったため、自分からエルレーンに向かっていこうという者は誰もいなかった。
…かといって、このまま放っておくわけにも行くまい。四人の間にその葛藤のじりじりした空気が流れる。
「…ふふ、こんにちわ、ゲッターチーム…」
「こ、こんにちわじゃねーだろ!お前、また…!」
のんびりした口調で彼らに声をかけたエルレーンに、ムサシが怒鳴り返す。
だが、当のエルレーンは彼らに向かって穏やかに微笑んでみせた。
「…うふふ…今日は、誰も…飛びかかって、来ないのね。…やっと、わかってくれた…の?」
「な、何がだ!」
「…ゲッターにのっていないときは、私、あなたたちには何もしない…わ。その必要、無いもの」
「…お、俺たちをバカにしているのか?!」
「…バカに?…どうして…?」
リョウの怒りまじりの問いに、きょとんとした表情を見せるエルレーン。
「と、とにかく!…俺たちの前にそうやって姿をあらわしたからには、何か魂胆があるってことだろう?!…だが、そうはさせんぞ!」
意気上がるハヤト。
「そうよ!」
ミチルも力強く同意を示す。
「…んもう、どうして、わからないのかなあ…」
自分に対して闘志をむきだしにした彼らを見て、少し残念だというような口調でエルレーンがつぶやく。
「何度も何度も私にそうやって仕掛けてきて、そのたびに負けてるのに…」
「う…」
「あのねえ、私の友達が言ってたよ。…一回失敗したのに、また同じことをやる人はおばかさんなんだって」
「?!」
「…リョウたちは、おばかさんなの?」
自分の疑問を、素直に口にするエルレーン。
…しかし、彼女は気づいてはいないが、それはリョウたちにとっては強烈な皮肉だった。
「な、なんだとおー!」
「エルレーン!貴ッ様ァ!」
「…!!」
そのセリフに、一気に頭に血が上る三人。今にもエルレーンをぶちのめしそうな勢いだ。ミチルもそれは同様だ。
その四人の様子をしばし不思議そうに見つめていたエルレーン。
…だが、その彼女の顔に、ぱっといたずらっぽい表情が浮かんだ。
「!…私と、また、やる気…なの?」
「おうとも!今度は絶対、叩きのめしてやるぜ!」
「…そんなこと、しなくていいよ☆」
そう言って、にっこりと笑いかける彼女。
「…へ?」
その発言に、思わず間の抜けた声がムサシの口から漏れた。
「…どういうことだ」
「恐竜帝国のこと…聞きたい、んでしょ?…だから、私を捕まえたいんだ」
「そ、そりゃそうよ!」
「…だったら…捕まえて、みたら?!」
両手をぱっと広げ、エルレーンはにこやかにそう言い放った。
「?!…は、はぁ?!」
「うふふ、私を捕まえてみたら?…もしねぇ、四人のうちの誰か一人でも私を捕まえられたら…私の知ってること、何でも…教えて、あげる☆」
「?!…な、何だと!」
「本気か…?!」
半ば挑発とも取れるような、その提案に思わず戸惑ってしまうゲッターチーム。
「うん!…でも、『捕まえられたら』の話だけど…☆」
そう言いながら彼女はあっけらかんと笑って見せる。
「…!…くそッ、そんなことを言いだしたこと、後悔させてやる!」
リョウの目がきっと鋭くなる。
どうやら、彼女の提案を飲むつもりのようだ。
ムサシ、ハヤト、ミチルもエルレーンを睨みつけ、一挙に飛びかからんとしている…エルレーンもその四人の様子を見て、不敵な微笑を浮かべる…
「行くぞー!」
ムサシのおたけびと同時に、四人はいっせいにエルレーンに向かってダッシュした!
「きゃははははは!」
あくまで明るい笑い声を立てながら、彼女は彼らに背を向け、逃げ去っていく。
「待ちやがれ!」
ハヤトがその俊足を発揮し、ぐんぐんと彼女を追い詰めていく。
その差がどんどん縮まり、手を伸ばせば捕まえられそうなくらいになっていく…!
が、そのエルレーンが唐突に彼の視界からふっと消えた。
「?!」
彼女が突然その場に座り込んだのだ、と気づいたときには、少し遅かった。
「う、うわあぁっ?!」
小さくしゃがみこんだ彼女の身体に足が引っかかり、彼は思いっきり前のめりに転んでしまう。
かなりのスピードで走っていたハヤトは、頭から地面に音を立ててすっ転んだ。
「は、ハヤト?!」
「うふふ、こっちこっち!」
ハヤトの追撃をかわしたエルレーンがすっくと立ちあがり、その後を追うリョウたち三人に向かってちっちっと指をふって見せる。
「ま、待てッ!」
「はさみうちにすれば…!」
リョウとミチルが素早く二手に別れ、大きく円を描くようにしてエルレーンを取り囲む…そして、彼女をはさみうちにせんと迫る。
「覚悟しなさい!」
「…!」
いつのまにか二人に囲まれていたことに気づいたエルレーン。だが、その表情に焦りの色はまったく見られない。
「…ミチルさん、行くぞ!」
「ええ!」
リョウの合図で、二人はいっせいにエルレーンめがけて走り出す!二人同時に彼女に手を伸ばす…が、そのどちらの手も、虚しく空をきった。
「?!」
「え…?!」
それに戸惑いを見せた瞬間、二人の両足に衝撃が走る。
「うっ?!」
「きゃあ!」
素早く身をかがめたエルレーンが、二人の足を軽く払ったのだ。
思わぬ衝撃を受け、心の準備もできずもんどりうって地面に倒れるリョウとミチル。
「今だッ!」
「おう!」
だがそれとほぼ同時に、今度はムサシとハヤトが同時にエルレーンに襲い掛かる!
「…っと!」
「?!」
「いでででででっ!!…は、放せこの馬鹿力ッ!」
軽く跳躍して二人の猛攻をかわしたエルレーン。
ムサシの両腕が思い切り捕まえたのは…向かい側から飛び掛ってきたハヤトの身体だった。
思い切りさばおりをかけられたような状態のハヤトは思わずムサシに悪態をついてしまう。
「す、すまねえ!」
慌ててその両腕を解くムサシ。
「きゃはははは!…ほら、こっちだよゲッターチーム☆」
彼らから少し離れた場所まで走って逃げたエルレーンが、きゃらきゃら笑いながら、そんな彼らに向かって挑発してくる。
「…くっそー!」
「待ちやがれッ!」
「恐竜帝国の事、洗いざらい喋ってもらうわよッ!」
「おとなしくしやがれッ!」
四人は四者四様の返事を返し、全員いっぺんに彼女のほうめがけて駆け出した!
「きゃははははは…!」
エルレーンはその様子をうれしそうに見ながら、捕まらないように背を向けて走り出す。
ゲッターチームの目に映るその姿、その笑顔はまったく邪気が無いものだった。…まるで、子供が遊んでいるようだ。
しかし、それ故にそんな彼女にいいようにからかわれているのが腹が立つ。
一気にエルレーンに襲い掛かる四人…だが、その動きはまるで読まれているかのように、次々と軽くかわされてしまう。まるで踊っているかのような軽やかな動きで。
「ええいっ!」
ミチルが「好機」とばかり、自分に背を向けたエルレーンに思い切り飛びかかる。
「!」
だが、他の三人に気をとられながらも、ミチルの動きにも気を配っていたエルレーンはそれを見逃さなかった。
彼女の手が自分の触れる一瞬前、右足を軸にし、素早く身体を反転させる。すると、次の瞬間、あっという間に二人の位置関係が変わっていた。
「?!」
ミチルの目の前からエルレーンが消えた…次の瞬間。
「きゃはははっ!ミチルさん、捕まえたッ☆」
「きゃあっ?!」
ぎゅうっ、と後ろから自分を思いっきり抱きしめる両手。エルレーンがぎゅっと自分を後ろから抱きしめてきたのだ。
「?!」
ゲッターチーム三人の目が、驚きで丸くなるのが見えた。いたずらっぽい表情を浮かべるエルレーン…
そして彼女の唇が、自分の左頬に軽くちゅっ、とキスをした。
「…?!…キャー!キャー!キャー!」
「…ふふ、きゃははははっ!」
唐突にエルレーンにキスされ、混乱してしまったミチルが悲鳴をあげる。
顔がかあっと真っ赤になり、両手で頬を抑えて困惑しつづけている。
そんなミチルからふわっと離れ、いたずらっぽい目をした笑顔のエルレーンが再び駆け出す。
「…!…ま、待て!」
一瞬目の前で起こった出来事にあっけに取られてしまった三人だが、その姿を再び追い始める。
ミチルもはっと我を取り戻し、三人に続いた…

「…も、もう…だ、ダメ…」
「…はぁ、はぁ…ふぅ、っ……」
かれこれそれから30分。全力でエルレーンを追いかけ回しつづけたゲッターチームだが、さすがに限界がきてしまった。
あれからも、まったく彼女に触れることすらできないまま、いいようにかわされつづけていたのだ。
体力的に元々劣るミチルと瞬発力はあるが持久力に欠けるハヤトが、真っ先にへたり込んでしまった。
最早両足は疲労でがくがくいっており、言う事を聞きそうにない。草原にあお向け倒れこんだまま、ハヤトはぐったりとしてしまっている。
「…は、ハヤト、ミチル…さん」
「…はぁ、…く、くっそー…」
疲労の色が濃いのは今だエルレーンに挑みつづけているリョウとムサシとて同様だった。
しかし、フラフラになりながらも、それでも二人はエルレーンを捕まえんと立ち向かいつづける。
「…っはは、うふふ…」
エルレーンの息も、荒い。しかし、それでもリョウやムサシにくらべれば、まだまだ余裕のある表情をしている。
「…!…うおおおぉぉぉおっ!」
リョウがいうことをきかなくなってきている自分の身体に鞭打つように、雄たけびを上げる。
そして、全力を振り絞り、エルレーンに向かって飛びかかる…!
「…とぉ!」
「?!…う、うわぁっ?!」
飛びかかってきたリョウの腕を素早くとり、エルレーンはその勢いのまま彼をふわりと投げ飛ばした!
…短い叫び声をあげ、リョウは地面に倒れ伏す…そのまま、彼は蓄積した疲労で、ついに立ち上がれなくなってしまった。
悔しげな顔でエルレーンを見上げるが、もう30分あまりも全力で走りつづけた両足は、立ち上がることすらできなかった。
「り、リョウ…!」
「は…はぁ、はぁ…ふふ、後、は…ムサシ、君、だけだね…」
「く、くっそー!絶対捕まえてやるッ!」
言うなりダッシュで駆け出すムサシ。
…と、その両腕の中に、エルレーンの身体を捕らえこんだ…!
(や、やった!)
そう思った矢先だった。自分の両肩に軽い衝撃を感じた。
「?!」
見ると、それはエルレーンの両腕。
彼女はその勢いのまま、ムサシの肩を押し出すようにして、肩から足までその身をするりとムサシの腕から逃す…
まるで、ムサシの肩に逆立ちをするような体勢に一瞬なった。
…が、次の瞬間、疲労の極地にあった身体に体重が一気にかかったため、ムサシは前のめりにどさあっと倒れこんでしまった。
それを横目で見ながら、エルレーンは軽やかに身体を空中で反転させ、ふわりと地面に舞い降りた。
「…ち、ちくしょ〜…!」
悔しそうなつぶやきがムサシの口から漏れる。
しかし、もはや疲れきってしまった彼はその場にそのまま倒れこんでしまった。とうとう四人が四人とも、疲労しきって動けなくなってしまった。
「…ふぅ、…はぁ…ふふ、あはは…」
エルレーンも肩で息をしている。
倒れこんだ彼らから少し離れたところで、自分もまたペたんと地面に座り込んだ。
動きつづけた身体には心地よい疲労感が感じられた。その顔には満足げな表情が浮かんでいる。
「うふふ、…ふぅ…っ…あぁ、…楽しかった…!」
はあっ、と大きく息を吐きながら、満面の笑みを浮かべてエルレーンはそう言った。
「…!」
ぬけぬけといわれたそのセリフに、思わずむかっとしてしまうゲッターチーム。
…しかし、そんなエルレーンを捕まえて鼻をあかしてやろうにも、身体はまったく言うことを聞いてくれない。
「…お、おめー…なぁ…はぁ、はぁ…」
ムサシがかろうじてそう漏らしただけだ。
「ふふ…」
エルレーンは軽く微笑しながら、ゆっくり息を整えている。
…いつのまにか、草原は一面夕焼けのオレンジ色に染まっていた。夏の遅い夕暮れが彼らの周りを包んでいた。
斜陽の輝きが、ゲッターチームとエルレーンを同じ色に染めている。
「ああ…もう、帰ら、なきゃ……嫌だ、な…帰る、の…」
そんな言葉が彼女の口からこぼれた。
ふらりと立ちあがり、沈みいく夕日に目をやるエルレーン…
「…はぁ、…か、帰れ!帰っちまえ!…はぁ…で、…に、二度と地上をうろつくんじゃねえ!」
リョウが今だ荒い息をしながらも、そう毒づいた。
普段の彼からは想像もできないほど、ぞんざいな言葉で。
…しかし、エルレーンはその彼の言葉に言い返すこともなく、ちょっと哀しげな目をしただけだった。
…と、その時唐突に、エルレーンがぽつり、と…誰に言うでもなくつぶやいたのが、リョウたちの耳に聞こえた。
「…でも、そういうわけにもいかないんだもん…だって、そうしないと、死んじゃう、んだから」
「…?!」
思いもしない彼女の言葉に、彼らの表情がさっとかわる。
「ど、…どういう、ことだ…?!」
ハヤトがようやく、といった感じで身を起こし、エルレーンに目を向ける。
夕日を背にし、橙色の逆光に照らされたエルレーン。
彼女の表情は、影になって見えない。
「…私、太陽の…光を浴びないと、死ぬ、んだって」
なんの感情もこめられていない声。
だが、彼女がどんな顔をしてその言葉を口にしているのか、それは見えない。
「…な、なんで…だよ…」
ムサシもゆっくり身体を起こす。彼の目に、エルレーンの影が見える。
リョウやミチルも、奇妙なことを言いだしたエルレーンを困惑した目で見つめている…
「…私の、身体は…『人間』だから…『人間』は、太陽の光を浴びないと、死ぬんだって、さ」
夕日を背にしたまま、こちらに向いてエルレーンはそう言った。その口調からは、なんの哀しみも惑いも感じられなかった。
「…」
無言のまま、その言葉を聞くゲッターチーム。
エルレーンが何故たびたび地上にあらわれるのか。
ようやく、彼らの疑問のひとつが瓦解したわけだが…その理由は、彼らが想像もし得なかったものであった。
余りに想像を超えていたため、何も言葉が出てこない。
「…でも、私…地上は、好き。…だから…そのほうが、いいんだ。…マシーンランドは…私、嫌い…」
そういったとき、その時だけ、彼女の口調がかすかな哀しみを帯びたように思えた。
『マシーンランド』というものがなんなのか、今のゲッターチームにはよくわからなかったが…少なくとも、エルレーンはそこを嫌っていることくらいは理解できた。
「…お前」
リョウが嘆息するように、やっとそれだけ、つぶやいた。
ざわざわと強い風が凪いでいく。オレンジ色の草原を、音を立てて過ぎ去っていく。
しばらく無言のまま、エルレーンは夕日を見つめつづけていた。…が、突然ぱっとこちらをふりかえり、にこっと笑いかけて見せた。
「…だから、ダメっていわれても、来ちゃう、もん。うふふ…」
「…」
「それじゃあ、ね!ゲッターチーム!…今日は、遊んでくれて、ありがとう…☆」
「あ、『遊んで』?!」
「お、お前な〜!」
思いっきり好きなようにかき回されたあげく、「遊んでくれてありがとう」と礼まで言われてしまった。
思わず反応してしまうリョウたち。だが、当のエルレーンはそんなことにはまったく頓着もしていない様子で、にこにこと微笑している。
「じゃあ、またね…!」
ふっとふりかえり、風のようにエルレーンは何処かへと駆け出した。
「!…あっ、ま、待て!」
リョウが立ち上がってその後を追おうとしたが、遅かった。
あっという間にその背中は小さくなり、草原の中にうもれてしまった。
「…」
後に残されたゲッターチームは、無言のまま。時折風が夕焼けの草原を駆け抜けていく音がするだけ。
「…太陽の光を浴びないと、死ぬ…だと?…本当だと思うか、みんな…?」
リョウがぽつりと、誰に言うともなしに問い掛ける。
「…嘘をつく必要も無いだろうよ」ハヤトも立ち上がり、草を払いながらいう。
「…だろうな」嘘にしては、手が込んでいる。また、そこまでしてつかねばならない嘘でもないような気がした。
…ならば、それは本当なのだろう。
エルレーンは「人間」だ。だから、太陽の光を必要とする…
それゆえにたびたび地上に姿をあらわした。
「…道理で、地上をうろうろしてるわけだ」ムサシが合点がいったというような風につぶやく。
「でも、それじゃあどうして私たちのまわりにばかりあらわれるのかしら?」
「…さあ」
「やっぱり、なんかゲッターの情報をさぐろうとしてるんじゃあ」
「…にしちゃあ、ワケわからなすぎるぜ、あのお嬢さんのやってることは…」
「うーん…」
再び、ゲッターチームは黙り込んでしまった。
エルレーンの謎めいた行動。
敵である自分たちを殺そうともせず、ゲッターの情報を奪おうとするわけでもない。
その理由を今だ、彼らははかりかねている…


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