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◆ Monologue〜Nobody hears, Nobody knows〜(2)
(もしくは、Requiem〜今はもういない人々のために〜)
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帝王、ゴール様。
地上は…地上は、本当にキレイな場所ですよね。
キレイだったでしょう…?
だから私、わかります。
どうしてゴール様が、恐竜帝国が、「人間」を滅ぼして地上に出ようとしたのか。
だって、そこには、空があるから。風があるから。太陽があるから。月があるから…
たとえそこがゲッター線…ハ虫人を殺す悪魔が降り注ぐ場所だとしても。
もし「人間」を滅ぼしたなら、あの「計画」を実行して…それさえも乗り越えようとしていましたね。
でも、それももう、できない。
マシーンランドも破壊され、無敵戦艦ダイも、あなたごと…
ああ。
ゴール様。
ごめんなさい。
…ゴール様はあの時、私のことを…ハ虫人がみんな嫌がった「人間」で「兵器」の私を、
「立派な、恐竜帝国の戦士」って言ってくれた…
「よくやってくれた」って、ほめてくれた…
本当は、あの時、私…ゴール様に、「ありがとう」って言おうとして、言えなかった。
ゴール様は、こんな私を…恐竜帝国の「仲間」だって、言ってくれたのに。
あなたは、恐竜帝国で…ルーガ以外で、私のことを見てくれた…たった一人の人です。
ゴール様。ゴール様。ごめんなさい。
なのに、私は、あなたを、裏切りました。
恐竜帝国のことを、あの人たちに話したんです。
ゴール様。あなたの夢を壊して、ごめんなさい。
あなたの希望を、「未来」を壊して、本当にごめんなさい…
でも。
でも、地上は…あの世界は、やっぱり、リョウたちのものなんです。
私は、だから…
ごめんなさい、ゴール様…

メカザウルス・ラル。
私、あなたに、嘘ついちゃったね。
「一緒に行こう」っていったのは、私だったのに…
私、「兵器」のくせに、死にきれなかったよ。
相手も殺せなかった…殺したく、なかった。
あなたは行ってしまった。
私は…こうやって、リョウの中にいる。
ごめんね、ラル。
…いつかまた、そっちにいくよ。
そうしたら、まだ私のこと、…わかって、くれるかな…?

ムサシ君。
ムサシ君は…もう、いないんだね。
たった一人で、行ってしまった。
無敵戦艦ダイを、たった一人で…
…今でも、私、信じられないよ。
今はもう、あなたがいないなんて…
ねえ。
私は…あなたを、守りたかったんだよ。
私を信じてくれた、私にやさしくしてくれた…ムサシ君を、守りたかったんだよ?
私が本気であなたたちを殺そうとした、あのときでさえも…
私とは戦いたくない、って言ってくれた、ムサシ君。
「エルレーンが生きていてくれて、よかった」って言ってくれた、ムサシ君…
なのに。
なのに、どうして…どうして、そのあなたが、死んでしまったの…?
ねえ、笑ってよ、ムサシ君。
もう一度、私の前に帰ってきて、笑って。
私、明るく笑いかけてくれる、あなたの笑顔が、大好き。
いつもやさしいあなたが、大好きだから…
…。
…でも、本当はわかってる。
いくら呼んでも、もうムサシ君は、帰ってこないこと。
ムサシ君は、もういないこと…
これが、「死」なんだね。
ムサシ君は、もう…あの子猫たちと同じ場所に、行ってしまった。
ああ。
痛いよ。
苦しいよ。
あなたがいないことが、苦しくて、さびしい。
哀しくて、痛い。
ムサシ君。
リョウも、ハヤト君も、ミチルさんも、博士も…みんな、あなたがいなくて、さびしい。
ムサシ君。
大好きだよ…今でも、こんなに。
だから、なおさら。
あなたが守れなかったことが、くやしい。
あなたがいないことが、哀しい…

…ルーガ。
ルーガは、きっと、怒ってる…ね。
それとも、あきれてる…?
だって、私は、恐竜帝国を裏切って…ゲッターチームに、ついたんだから。
恐竜帝国をつぶしたのは、この私でもあるんだから。
ごめんなさい。
ルーガはあんなに、私によくしてくれたのに。
私に「名前」をくれて、恐竜剣法を教えてくれて、いつも私を見ていてくれて、
いつも私に、こんな「兵器」の私に、やさしくしてくれて…!
なのに、私が、ルーガの「未来」を…恐竜帝国のハ虫人が、地上で暮らすって言う夢を、壊してしまった。
ごめんなさい。
ごめんなさい、ルーガ。
いくら謝っても、許されることじゃないけど。
きっとルーガは、私のこと…もう、待っていては、くれないよね。
私のこと、もう…「トモダチ」だなんて、思ってはくれないよね…
ごめんなさい。
ルーガは私のこと、信じてくれたのに…
ああ。
ルーガ。
あの時、ルーガは…私に、「帰れ」って言ったよね。
「お前の『答え』を探せ」って…
ルーガ。
私、自分の「答え」を、出したよ。
あれで、よかったのかな…?
私には、わからないんだ。
あれで本当に、よかったのかが…
そのくせ私、死ななかった…ね。
リョウが私を、助けてくれたから…
私はリョウを殺そうとしたのに、リョウは…私を、助けてくれたんだ。
…私、だから…リョウの、力に、なりたかった…
だから、恐竜帝国のこと…ゲッターチームに、教えたんだ…
ごめんね。
ルーガは、こんな私を…許してくれないよね。
本当に、ごめんなさい。
でも、いつか…リョウの命がなくなって、リョウと一緒にいる私も…ルーガのいる、
「全てのイキモノが行く場所」にいったなら…
その時、一回でもいいから、聞いて欲しい。
私は、本当にルーガのことが、大好きだったこと。
ルーガが私にやさしくしてくれたこと、それが何よりもうれしかったこと…
ああ。
ルーガ。
ごめんね。
ありがとう。
大好きだった。
私、ルーガが大好きだった…!

























…ああ。

そうだ、もう…
恐竜帝国は、滅びたんだ。
恐竜帝国は、もうないんだ…

なら。
私はもう…私の記憶はもう、みんなの役には、立たない。
私はもう、必要ない…

…だったら、もう、私は…消えたほうが、いい…よね。
リョウを無理やり眠らせて、苦しめることも、もう、ない。
それに、このままだったら…
リョウが、私に、気づいてしまうかもしれない。
…それは、絶対に、ダメだから…

ああ。
ハヤト君。
ミチルさん。
博士。
…リョウ。

終わらせなきゃいけない、…終わるときが、来たみたいだよ。
さあ。
最後の時間が来るよ。

それが終わったら…そうしたら、私は眠るんだ。
この、リョウの精神(こころ)の中で。
ずうっとずうっと、一緒に…

ああ。
リョウ。
私、ずうっとずうっと、リョウと一緒にいるよ…


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