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◆ 大爆発!くたばれ恐竜帝国
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「…それじゃあ、いってくるわ…!」
「ああ、頼むぞミチル!」
早乙女博士に見送られ、ミチルは司令室を駆け出していった…彼女はコマンドマシンで出撃するのだ。
「…博士、うまくいくといいですね」
と、格納庫で待機しているゲットマシン・ジャガー号のハヤトから通信が入った。
そう、とうとう今日…完成したゲッター線ソナーで恐竜帝国マシーンランドを見つけ出し、強襲をかけるのだ。
「ああ。…実験ではうまくいっている。おそらくマシーンランドも…」
「…博士…前から聞きたかったんですが」
すると、博士の言葉をさえぎって、イーグル号のリョウが不思議そうに問い掛けてきた。
「…『マシーンランド』っていうのが、地中のマグマ層にあるって…どうしてわかったんですか?」
「!…あ、ああ、…それは、だね…」
途端にしどろもどろになる博士。
…だが、リョウはなおも聞く。
「それに、その…『マシーンランド』っていうの…一体何なんですか?」
「恐竜帝国の本拠地だぜ、リョウ」
ムサシが答えてやる(何も考えずに)。
「?!…そうなのか?!…お前、何でそんなこと知ってんだ?!」
「!…ああー、えーと、そ、そのー…」
はたせるかな、博士同様しどろもどろになってしまったムサシ。
…この「恐竜帝国マシーンランド」というものについて彼らに教えてくれたのは、他でもないエルレーンだった。
…彼女はここで暮らし、その実態を詳しく知っていた…
恐竜帝国の本拠地、マグマ層を自由に移動できる巨大基地であることを、その彼女から知らされたのだ。
しかし、そのことを…エルレーンが目覚めている間は彼女に眠らされている…
いや、それどころか、エルレーンが自分の中で生きていることをすら知らない…リョウ自身は知らないのだ。
そのため、彼は何故博士がゲッター線ソナーなどというものを開発し、「マシーンランド」なるものを見つけようとしているかがわからなかったのだ。
「ま、まあいいじゃねえか、とにかく…あのゲッター線ソナーがうまく働けばよう、あのトカゲ野郎どもを一網打尽にできるんだしよう!」
…もう説明するだけボロが出そうだったので、ムサシはそう豪気に言い放つ…そして笑ってごまかそうとした。
…リョウはそんな彼の様子をしばらく不審そうに見ていたが、やがてきっと鋭い目をしてうなずいた。
「…ああ。…見ていろ、恐竜帝国め!」
「そ、そうだぜ!俺たちのゲッターロボで、奴らに一泡吹かせてやろうじゃねえか…!」
ハヤトもそう言葉をつなぐ。
「お父様、そろそろゲッター線ソナーのスイッチを入れるわよ!」
…と、その時、コマンドマシンで飛び出したミチルから通信が入った。
「あ、ああ!頼む!」
「さあ…上手く働いてよ、ゲッター線ソナー…!」
そしてミチルはゲッター線ソナーのスイッチを入れた…!
コマンドマシンの底部に取り付けられた小型ゲッター線発射装置から、地底に向けてゲッター線が放たれる。
…そして、地底の様子が専用モニターに映し出される…
「恐竜帝国マシーンランドは関東近辺にいるはずだ!…このあたりの火山帯にそって飛んでくれ!」
早乙女博士は、エルレーンから聞いた情報どおり、関東地方近辺を捜索するようにミチルに指令を飛ばす。
「わかったわ!」
指令に従い、コマンドマシンを駆るミチル。
…そして、数十分ほどしたとき、専用モニターに映る画面に変化が現れた。
「?!」
…地底のマグマ層と思われる空間に、ぽっかりと…黒い影が映っている。
それはマグマ層の中空…つまり、それは溶岩の海…に浮かんでおり、明らかに岩などではないことがわかる。
しかも、その影は確実に動いている。
…マグマ層の中を動く、その影…
それはおそらく、恐竜帝国マシーンランドだ!
「…お…お父様!…ソナーに、ソナーに反応が…?!…きょ、巨大な影が、地下のマグマ層付近に…!」
「!…やったか!」
「博士、マシーンランドが見つかったんですか?!」
「ああ…そうらしい!ミチル、正確な位置を!」
「ええっと…U-509地点!…U-519地点方面に移動中!」
「よし!それじゃあゲットマシン、出撃してくれ!」
「了解!…ゲットマシン・イーグル号、発進!」
「ゲットマシン・ジャガー号、発進!」
「ゲットマシン・ベアー号、発進!」
その報を聞くやいなや、すぐさま現場に向かうべく発進するゲットマシン…!
三機の戦闘機は真っ白い筋を描き、青空へと飛び立っていった。

U-519地点。現場に急行したゲットマシン。
…そこではコマンドマシンが、旋回しながら現在のマシーンランドの位置を彼らに教えている。
「よし、それじゃあ…ハヤト、行け!」
「ああ!…チェーンジ・ゲッター2!スイッチ・オォンッ!」
そして三機のゲットマシンは合体する…
イーグル、ベアー、ジャガーの順に合体したそれらは、陸戦用モード・ゲッター2へと姿を変えた!
「…それじゃあ、行くぜ…!」
ゲッター2に合体した三機のゲットマシン。ゲッター2のパイロット・ハヤトが気合を入れる。
地中を掘り進むドリルを持つゲッター2こそ、マグマ層に潜むマシーンランドを攻撃するこの任務にはうってつけなのだ。
「ああ!…全てお前に任せたぜ、ハヤト!」
「ヘタ打つなよ!」
「任しとけって!…行くぜ!ゲッタードリルッ!」
リョウ、ムサシのハッパに笑顔で答え、ハヤトは操縦桿を握りなおす…
そして、ゲッター2は一旦高く空中に飛び上がる。
鋼鉄のドリルが同時にうなりを上げ、まっさかさまに地面へと突き進んでいった。

「ご、ゴール様!ゴール様!」
そのころ、恐竜帝国マシーンランド。
…帝王の間に、驚愕で真っ青になった恐竜兵士が駆け込んできた…
「何だ、騒々しい…」
「げ、ゲッター線観測装置が…異常な量のゲッター線量を記録!しかもその数値は、先ほどから強くなる一方です!」
乱れた息を整えようともせず、一息で報告する恐竜兵士。
彼の顔には恐怖の色がはっきりとうかび、その報告の内容の重大さを示している。
「何…?!」
それを聞いたゴールの眉がぴくりと動いた。
「お、おそらく…ゲッターロボが、ゲッターロボが近づいているものと思われます!」
「?!…このマシーンランドにか?!」
「は、はい…!」
「い、いかがいたしましょう、ゴール様?!」
慌てた口調でバット将軍が言う…
さすがに、ゲッターロボが自分たちの本拠地であるマシーンランドに向かっていると聞き、動揺が隠せない様子だ。
「こうなったら、メカザウルス総出で奴を迎え撃つのじゃ!このマグマの藻屑に変えてやれ!」
見かけによらず、案外短気なガレリイ長官がヒステリックに叫ぶ。
手にした杖をぶんぶんと振り回し、猛っている。
「奴らを誘い込むというのか、ガレリイ長官?!」
「そうじゃ!…早速メカザウルスの準備を、ゴール様…!」
「…」
しかし、彼らの会話を帝王ゴールは黙って聞いているだけだ…
瞳を閉じ、しばし何事かをじっと考えている…
「…待て」
…と、低い声が帝王の間に響いた。
「?!」
思わずゴールに目を向けるバット将軍とガレリイ長官。
「奴らが我々のマシーンランドを一路目指しているということは…
奴らはすでに、このマシーンランドの位置を割り出す何らかの方法をもっているに違いない。もはや逃げ場はない、ということだ」
帝王の口調はごく落ち着いている。
…危機的な状況とはいえ、その落ち着きはまったく失われておらず…冷静に状況を分析する。
「で、ですから、今…!」
「わかっておる。…総攻撃をかけるときがきたようだ。捨て身とならずば、奴らを倒せはしまい…」
「そ、それでは…!」
「ガレリイ長官…ダイの準備は?!」
「!…はっ、万全でございます」
帝王の言葉に一瞬はっとなったガレリイ長官。
…だが、彼は胸を張ってそう答えた。
「とうとうダイを…無敵戦艦ダイで出陣なされるのですね、ゴール様!」
「うむ…だが、それはちと後になる」
「…?」
「バット将軍、ガレリイ長官。…奴らと戦うのは、今ではない。…メカザウルス・ヤモを出撃させよ。
そしてヤモとゲッターロボが交戦している間に、マシーンランドは全速でその場から離れる」
「え…」
思わぬ帝王の言葉に戸惑うバット将軍とガレリイ長官。
襲ってくるゲッターロボに対し、総攻撃をかけるのではないのか?
しかし、二人の困惑を見てとったのか、帝王ゴールはかすかに微笑い…重ねて厳かに言った。
「ゲッター…そして人間どもとダイで戦うその前に、やらねばならぬことがある…そのための、時間が必要なのだ…」

ゲッター2は垂直に地面を掘り進む…ドリルは休むことなく土を砕き、そこに道を造る。
「な、なあ、リョウ…な、何だか暑くねえか?」
…と、浮かんできた汗をぬぐいながら、ムサシがモニターのリョウに声をかけた。
「ああ…マグマ層が近いんだ」
「あちー!本当に暑いって!…な、何とかしろハヤトー!」
なおも文句をたれるムサシ…ゲッター2を操縦するハヤトに無茶な注文をつける。
「馬鹿野郎!無茶言うんじゃねえ!」
ハヤトがそのムサシの文句に一喝していると、研究所の早乙女博士から通信が入った。
「ハヤト君!マグマに対するコーティングは一時間ぐらいしか持たん。…十分気をつけてくれ!」
「わかってます博士!…マグマ層に突入するぞ!」
その通信にうなずくハヤト。
…するとその時、計器の数値が地層と温度の急激な変化を示した…とうとうマグマ層まで掘り進んだのだ!
そして次の瞬間、一挙に目の前に鈍い赤の海が広がった…!
「!」
「こ、ここが…マグマ層?!」
そこは、見渡す限り「海」であった…ただし、その空間に満ちているのは、高熱のマグマだ。
…マグマコーティングが施されていなければ、ゲッターロボといえど数分で溶解してしまうだろう。
「そうらしい…あ、ああッ?!」
周りの状況を確認するハヤト…と、彼の目に異様なモノが映った。
「どうしたハヤト……あ、あれは?!」
「!」
と、リョウとムサシの目にもそれが飛び込んできた…
そして、思わず彼らはその巨大さに目を見張った。
…溶岩の海の中、揺らめくマグマの向こうに見える黒い影…
その大きさは10キロはあろうか…巨大なその紫色の物体は、まるで醜悪な怪物の卵のようにも見える。
まるでイソギンチャクの触手のように、ウネウネとうごめく奇妙なパイプがその周りを覆っている…
「で、でけえ…」
「あ、あれが…恐竜帝国の、本拠地…」
「恐竜帝国、マシーンランド…!」
…そう、それこそが恐竜帝国の移動基地、恐竜帝国マシーンランドだった…!
ゲッター線ソナーは、たがうことなくこのマシーンランドの位置を捉えることに成功したのだ。
…と、三人がマシーンランドの巨大さに圧倒されている合間に、そのマシーンランドの影は少しずつ少しずつ小さくなっていく…ゲッターロボから離れようとしているようだ。
「お、おいハヤト!…あいつら、逃げてくぜ?!」
「チッ、そうはさせるもんか!追うぞ!」
慌ててその後を追おうとするハヤト。
「?!…ハヤト、あれ!」
が、その時…マシーンランドのほうから近づいてくる、別の影の姿が見えた。
…その影はだんだんとこちらに近づいてくる…それは、ヤモリのような姿をした機械。
…この高温のマグマの海の中、それをものともせず近づいてくる…!
「?!…め、メカザウルスか?!」
ゲッター2がそのヤモリにドリルを向けた瞬間だった。
…そのヤモリ状のメカザウルスは突然その口を開く…そこから数発のミサイルが飛び出した!
ゲッター2はそのミサイルをよけようとする…だが、粘性の高いマグマの中ではうまく動くことができず…そのうちの一発が左足で炸裂した!
「くぅっ!」
イーグル号にその衝撃が伝わる。思わず声をあげるリョウ。
「こ、攻撃してきやがった!…畜生、見てろッ!」
「ま、待てよハヤト!そんなことしてる間に、マシーンランドが…うわっ?!」
ハヤトをいさめようとしたムサシ…だが、敵の放つミサイル弾が再びゲッター2に襲い来る!
「…そうはいかねえようだぜ、ムサシさんよ…どうやらこいつは俺たちを足止めしようって腹らしいぜ!」
「仕方ない、戦うぞハヤト!」
「ああ!…行くぜトカゲ野郎!…ゲッタードリルッ!」
ゲッター2はドリルを構え、一気にメカザウルスに向かっていく…!
だが、からみつく溶岩の中で上手くその高速移動力を発揮できないゲッター2に対し、そのメカザウルスは実に器用に…まるで泳ぐようにしてその攻撃をかわしていく。
何度ドリルパンチを繰り出しても、そのドリルに敵の身体が当たることはない…それでいてメカザウルスはゲッター2からは決して離れない。
「チッ…のらりくらりと!」
「あぢー!早く何とかしろ、ハヤトー!このままじゃ、蒸し焼きになっちまうぜ!」
そうこうしている間に、各ゲットマシンの中はまるでサウナのごとき様相を呈してきた…
ゲッターロボの外壁はマグマコーティングで覆われ、各機に空調があるとはいえ、この超高温のマグマ層の中では限界がある。
…まるで滝のように汗が流れ、吸い込んだ息すら熱を持って肺を焼く。
「…くっ、確かに…一旦地上に上がれハヤト!ここで戦うのは不利だ!…ゲッターは大丈夫でも、俺たちが先にくたばっちまう!」
熱でくらつく頭を振って何とか意識を保とうとしながら、リョウがハヤトに命令する。
「了解…うわっ?!」
…だが、ハヤトがそれに従い地上にゲッター2を向けようとした途端…がくっとその機体が下方に強烈に引き寄せられる。
…みると、そのメカザウルスが大きく口を開けている…そこから渦が生まれ、ゲッター2を引き込んでいる!
…その力は存外強く、じりじりとゲッター2がメカザウルスのほうへと引き寄せられていく。
「ち、畜生、こいつ…!俺たちを、マグマ層から出さないつもりか…!」
「し、仕方ねえ…おい、リョウ、ムサシ!…こいつは今、ここで倒すぞ!」
「えー?!」
ハヤトの決断に思わず不服の声をあげるムサシ。
「『えー?!』じゃないだろ、ムサシ!ちょっとは我慢しろ!」
リョウがそんなムサシを叱りつける…
だが、不安げな顔をするムサシに対し、ハヤトはにやっと笑いかけた…!
「なあに、心配するな、すぐ済むさ…!」
そしてその瞳がきっと鋭くなる。機体を反転させ、ゲッター2のドリルをメカザウルスに向けた…!
「ドリルストームッ!」
ゲッタードリルを高速回転させるゲッター2。…すると、その回転から渦が生まれ、メカザウルスへと向かっていく…
メカザウルスの口から生まれた渦を打ち消し、今度はドリルの渦がメカザウルス自体を飲み込んだ!
「よし!行くぜ!」
相手の動きを止めると同時に、ゲッター2は全速力でメカザウルスに突っ込んでいく…!
だが、そのドリルの先がメカザウルスを捕らえる寸前、再びメカザウルスは口を開き、溶岩のタイフーンを吐き出した!
「?!」
「うわあっ?!」
その渦の回転に巻かれるゲッター2…強烈な回転に悲鳴をあげるリョウたち。
「く、くそッ!もう一回だ…喰らえ、ドリルストームッ!」
一旦ひるんだが、再びハヤトは体勢を立て直す…
そして再びメカザウルスに向け、ドリルストームを放った!
渦は的確にメカザウルスを捉え、その動きを封じる…!
「ゲッタードリルッ!!」
ゲッター2はメカザウルスに向けて突撃する…
そして、今度は見事にそのドリルがメカザウルスの腹部を貫通した!
…ドリルを引き抜きメカザウルスから離れるゲッター2…数秒後、そのメカザウルスは衝撃に耐え切れず、内部から崩壊した…!
そしてその爆発が溶岩に波を立てる。鈍い爆発音が反響する…
「…ひゃー、な、何とか…やっつけたみてえだな」
「ああ…だが…」
「親玉は逃げちまった、か…」
…メカザウルスと死闘を繰り広げている間に、恐竜帝国マシーンランドはすでに逃げ去ってしまったらしい…
見渡す溶岩の海の中、先ほどまであったあの巨大な影は、もはやどこにも見出せなかった。
「…ハヤト君、一旦研究所に戻ったほうがいい。…マグマ層に突入してからすでに40分はすぎている…
マグマコーティングが有効なあと残り20分…たった20分で、再びマシーンランドを攻撃するのは危険だ」
「…はい…」
多少不服げながらもうなずくハヤト。
…確かに、後20分たらずでマシーンランドを再び発見し、破壊に成功すると考えるのはあまりに楽観的すぎるというものだろう。
「大丈夫よ、ハヤト君。私のゲッター線ソナーは、マシーンランドの位置を正確に把握しつづけているわ。
…今は、東京湾のほうへ移動していってるみたい」
と、そこにミチルの通信。
少なくとも、マシーンランドの位置を見失ってはいないという彼女の言葉は、ゲッターチームを多少は安堵させた。
「研究所でマグマコーティングを再塗布した後、もう一度マシーンランドを!」
「ええ!」
「じゃあ早くこっから出ようぜハヤトー!暑くてオイラ死んじゃいそうだよー!」
「ああ、わかってるって!…ゲッタードリルッ!」
ムサシの懇願を聞くまでもなく、ハヤトはフェイスガードをさっとあげ、額の汗をさっとぬぐうとすぐさまゲッター2のドリルを地上へと向け、マグマ層からの脱出を図った。

「ゴール様…お言いつけの作業、全て完了いたしました…」
そして、その数時間後。
ゲッターロボの追撃をかわしたマシーンランド・帝王の間では、ガレリイ長官とバット将軍が帝王ゴールに報告を行っていた。
「しかし…何故ですか?まさか、ゴール様はこのマシーンランドを…」
「念のため、ということだ、バット将軍」
バット将軍の不安感をあらわにしたその問いに、ゴールは厳かに答えた。
「奴らとのこれまでの戦いを考えてみよ。…あのちっぽけな、『人間』というサルどもを…我々は侮り、たやすく蹴散らせると思っていた。
…だが、早乙女研究所…ゲッターロボによって、幾度の敗北を我々は喫した?」
「…」
「だからこそ」
そこで帝王ゴールは一旦言葉を切った。
玉座から立ち上がり、二人を見下ろす。
「我々の『未来』を確実なものにするために…備えねばならんのだ」
ばさっ、と暗紫のマントをひるがえし、帝王ゴールはモニターに視線をうつす…
そこには、恐竜帝国最強のメカザウルス…無敵戦艦ダイの姿が映っている。
「さあ、ゲッターロボ、ゲッターチームよ…来るがいい」
その勇姿を確認し、にやりと笑む帝王ゴール。その顔には、勝利への強い確信が浮かんでいた。
「この無敵戦艦ダイで、あの青空をお前たちの血の色に染めてやろう…」


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