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はなぢと私。リターンズ


つらつら思い起こしてみるに、昔の私ははなぢものではなかったはずだ。
風邪を引いたときにちょっと出血する程度の、ごくごく普通のはなぢとの付き合いをしていた。
しかし、たまにしかないとゆうことは、必ずしも悲惨な思い出がないということにはつながらない。
そしてそれが私ゆどうふの場合、結構悲惨だったりするわけだ。
今回はそんな昔々のお話…

そう、それは小学4年生の夏だった。夏休みも終わりに近づくそんなアンニュイな季節、私は居間でアニメ特集を見ながら宿題をやっていた。ふと鼻水が気になった私は傍のティッシュペーパーをつまみ上げおもむろに鼻に近づけていった。
ところで、人間とゆうものは、なれると一つのことをやりながら別のことができるやうになるものだ。
運転をしながらおしゃべりをしたり、あるきながら本を読んだり、と。
しかし、それと同時に注意力はものすごく落ちてしまうわけだ。「よそ見運転は止めよう!」と警察が言っているのも納得である。
なぜ今こんなことをゆうのかといえば、オバケのQ太郎を見ていたその時の私はまさに注意力を失っていたからである。
その手の進行角度が鼻をかむのとは微妙にずれていることにも気づかずに。
そして…惨劇は起こった。
「!!!」鼻の奥深くに思わぬ衝撃が走る。私の右手人差し指は目標を大きくそれ、鼻の穴に
不法侵入を行っていた。しかもその勢いは殊のほか激しかったらしく、私はその刹那
衝撃で身じろぎすらできなかった。
強い攻撃を受けた私のキーゼルバッハ部分から何やら液体が染み出す感触。
まずい!!はなぢだ!!
しかし突き刺さった指のおかげで外には流れない。ふぅ、とためいきをつくのもつかの間、私は重大な事実に気がついてしまった。
「しまった!!このままじゃただのアホやん!」
深々と右鼻に突き刺さる指。どこから見てもアホオーラが出ているではないか!
しかしこの指をぬけばはなぢが吹き出す。でも抜かなければアホ。
はなぢ、アホ、はなぢ、アホ…はなぢorアホ!!
こうしている間にも鼻血は喉の方に流れ鉄分臭い。やむをえず私は指をぬくこととした。
幸い妹はその場にはいない。私はその事実に感謝しつつ、ティッシュを構えて止血に入った。
「…!!」その時だった。私が感じたもう一つの衝動
指を突っ込んでしまったことで呼び覚まされた眠れる獅子。
「へ、へ、ほへほ、へ…」が、がんばれ私、こらえろわたし!
しかし無常にも私はそれをとどめ続けることはできなかった。
「ぶへーっくしょい!!」
その時、私は、紅い霧を見た。

時速は新幹線並みというくしゃみの風圧に散らされ、はなぢは細かい霧となって撒き散らされた。
もちろんやりかけの宿題の上にも。
9月にそれを提出したとき、先生はその血しぶきのついたぺーぢについて、何も言わなかった。
それが、愛だと思った。